重力まで含めた相互作用の統一理論として注目を浴びている弦模型については弦が時空に描く二次元世界面の共形超対称性が重要な役割を演じる。又、この対称性をゲージ化したものが共形超重力理論である。最近その代数的構造としての超共形代数(Superconformal algebra)が弦模型のコンパクト化の問題及び統計力学の臨界現象に関連して広く関心を集めている。当該年度はN=4の超共形代数について、超空間及び超場を用いた定式化を遂行した。その予備的な結果は8月に基研で開催された共形的場の理論の研究会で報告した。又この前後、7月及び8月に東大理に出張し、江口徹氏らとN=4超共形代数の表現論について議論を行った。これらを踏まえ、表現論において重要な役割を果たす遮蔽(Screening)演算子を超空間の方法により求めた。更にFeiginーFuchs流の線形項が存在しないことを見い出した。これらの結果は10月初め松山で開かれた物理学会の席上で報告した。又10月下旬に東大理に出向きN=4超共形代数の数学的構造について研究討論を行った。11月に以上の結果を研究論文としてまとめた(京大教養プレプリントKUCPー0016/88、Phys.Lett.B掲載予定)。11月下旬にはKEKに出張し、共形的場の理論を共形不変性が破れる二次元場の理論の領域へ拡張する試みについて東島清氏と議論した。又これに関連して12月に広島大学の小平治郎氏を招き、二次元非線型シグマ模型について研究討論を行った。12月下旬には上記論文の共著者の松田哲氏が超弦理論の研究討論のため東大理に出張した。上で述べた論文原稿を作成するにあたっては必要なソフトウエアをハードディスクに収納する専門的・技術的知識の提供を末廣一彦氏から得た。更に1月から2月にかけては今後更に研究を推し進めるため、超弦理論及び共形的場の理論についての資料収集・整理の補助的仕事を末廣氏及び野尻美保子氏に依頼した。又、これに関連する参考資料として外国書籍を購入した。
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