研究概要 |
重力をも含む自然界の相互作用の統一理論として注目を集めている超弦理論は弦が時空に描く2次元的世界面上の共形超対称性が重要な役割を演じる。そして、この対称性をケ-ジ化したものが共形超重力理論である。最近その代数構造としての超共形,代数が弦模型のコンパクト化の問題及び二次元統計力学系の臨界現象に関連して広く関心を集めている。本研究計画の第2年度にあたる当該年度はまず初年度に超空間の定式化を行なったN=4超共形代数について有限変換のもとでのアノマリ-を表わす超シュワルツ微分を超空間で求めた。その予備的な結果は6月から8月にかけての米国滞在中にSLAC及びFermilabにおけるセミナ-で講演した。9月に論文としてまとめ(京大教養プレプリント、KUCPー0018/89,Mod.Phys.Lett.A掲載予定)、また10月に宮崎で開かれた物理学会の席上で報告した。一方最近、共形的場の理論を共形不変性が成り立たない領域へ拡張することに関心が持たれている。この問題は2次元の場の理論の可解性に関連して無限個の保存量の存在、また共形不変な臨界点からの摂動論及びそのくりこみ群的解析など多くの興味ある課題を提供している。これに関して、SU(2)WZW模型に摂動を加えた場合の高次の運動積分量すなわち保存量を調べた(Fermilabプレプリント,Mod.Phys.Lett.A掲載予定)。又、9月、10月及び12月に東大理又11月には東北大理に出張し、サイン・ゴルドン理論などの2次元場の理論の保存量について討論を行なった。更に、弦理論から出てくる有効理論の高エネルギ-現象への応用について討論するため青山秀明氏に東北大理に出向いて貰った。論文原稿を作成するのに必要なソフトウェア、参考資料として数学関係及び場の理論・臨界現象関係の外国書籍を購入した。一方、今後更に研究を推し進めるため、超共形的場の理論に関する資料収集・整理の補助的仕事を井沢健一氏に依頼した。
|