研究概要 |
当該研究計画の最終年度にあたる本年度は初年度および第2年度で得た超共形代数の超空間における定式化に基づいて超共形場の理論を超共形不変性が成り立たない場合へ拡張する研究を行った。自由場で表わされる共形場の理論にある種の摂動を掛けたときの系がサイン・ゴルドン理論になるのはZamolodchikovの摂動論の議論に従って示すことができる。平成元年度に調べたSU(2)WZW模型に摂動を加えた系はサイン・ゴルドン理論で結合定数を有る値に選んだ場合に相当するが、このときの摂動に対してはVirasoro演算子の多項式で書ける保存量以外に新たな保存量が存在することが示されている。これを超対称性理論の場合へ拡張することを行った。超弦理論では弦の運動する時空がN=1の超対称性をもつときには世界面は2次元のN=2の超対称性をもつことが知られており、この観点からも特にN=2のソリトン理論に興味が持たれる。8月、9月に東大理に又11月に東工大理に出張し、超対称場の理論の摂動系の保存則について研究討論を行った。超空間の方法を用いてN=2超対称サイン・ゴルドン理論の保存量を古典論及び量子論の場合について調べた。またVertex型の新たな保存量はサイン・ゴルトンのS行列の構造と密接に関連することが示された。その予備的な結果は10月に奈良で開かれた学会の席上で報告した。11月に以上の結果を研究論文としてまとめた(京大教養プレプリント,KUCPー26/90,Phys.Lett.投稿中)。12月の高エネルギ-研での研究会でN=1およびN=2の場合の保存カレントについて講演を行った(京大教養プレプリント,KUCPー28/91:これは、近いうちに出る英文のproceedingに掲載の予定)。更に2月には、これまでの研究を総括する目的で高エ研および東大理に出向いて摂動超共形場の理論と超対称ソリトン方程式の可解性について研究討論を行った。研究遂行および論文作成に必要な書籍、ソフトウェアならびにマニュアルを購入した。
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