重力まで含めた相互作用の統一理論として最も関心を集めている弦模型においては弦が時空に描く2次元世界面上の共形超対称性が重要な役割を演じる。そして、この対称性をゲ-ジ化したものが共形超重力理論である。最近その代数構造としての超共形代数が弦模型のコンパクト化の間題および二次元統計力学系の臨界現象に関連して広く関心を集めている。本研究計画の初年度はN=4の超共形代数について、超空間の方法による定式化を行い更に表現論において重要な役割を果たす遮蔽演算子を求めた。第2年度は先に得た結果に基づいて、N=4の超共形代数の有限変換にもとでのアノマリ-を表わす超シュワルツ徴分を超空間で導いた。最終年度は初年度および第2年度で得た超共形代数の超空間における定式化に基づいて超共形場の理論を超共形不変性が成り立たない場合へ拡張する研究を行った。自由場で表わされる共形場の理論にある種の摂動を掛けたときの系がサイン・ゴルドン理論になるのは摂動論の議論に従って示すことができる。平成元年度に明らかにしたようにN=0の自由場の系に摂動を加えた系ではVirasoro演算子の多項式で書ける保存量以外に新たな保存量が存在する。これをN=1およびN=2の超対称性理論の場合へ拡張することを行った。超弦理論では弦の運動する時空がN=1の超対称性をもつときには世界面は2次元のN=2の超対称性をもつことが知られており、この観点からも特にN=2のソリトン理論に興味が持たれる。超空間の方法を用いてN=2超対称サイン・ゴルドン理論の保存量を古典論及び摂動論に基づく量子論の場合について調べた。またVertex型の新たな保存量はサイン・ゴルドンのS行列の構造と密接に関連することが示された。研究遂行にあたっては東大理やKEK等への出張の際の当該研究者との研究討論が大いに役立った。これらの成果は物理学会、研究会、内外の研究所におけるセミナ-で発表し、また別紙に掲げた学術雑誌に公表した。
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