研究概要 |
本研究においては,中重核イラスト領域における集団運動理論に,運動学的・動力学的非調和効果をくり込む理論的枠組みを確立し,これを用いて低・高スピン領域の集団運動を分析することを目標にしたが,本年度の研究成果は次の通り。まず低スピン領域の側面からのアプロ-チとして, 1.前年度までの研究で確立されたダイソン型ボソン展開法を ^<208>Pbのいわゆる八重極2つフォノン状態の構造の微視的解析に応用し,実験結果を合理的に説明できることを示した。 2.前年度までの研究でその基盤が確立したダイソン型自己無撞着集団座標法を,Sm同位原子核の振動・回転相転移現象の分析に応用し,中性子数が88から90の間での急激を相転移を微視的に説明することに成功した。また高スピン領域の側面からのアプロ-チとして, 3.超高スピン状態における巨大変形回転バンド,対相転移,準粒子回転バンドのE2,M1遷移の異常性を,「回転殻模型+RPA+準粒子・振動回転結合模型」を用いて分析した。 4.ソフトな変形効果を取扱うため,集団的回転・振動の高次の相互作用をくり込めるようボソン展開法を拡張し,核の首振り(ウォブリング)運動の分析に応用した。 5.本研究の副産物として,角運動量合成の数式処理の世界最初の計算機プログラムの開発に成功した。
|