この研究では、カイラル対称性がどのような条件の下にどのような機構に依って破れるかを解明することを目的としている。 そのために今年度は有効ポテンシャルの方法を定式化した。比可換ゲージ理論以前においてはカイラル対称性のオーダーパラメーターである9^^-9の真空期待値に対する有効ポテンシャルは発散の困難のために定義することすら出来なかったが、非可換ゲージ理論においてはその漸近自由性のために発散の困難なしに定義できることを示した。又、実験にマループ近似で有効ポテンシャルを計算する方法も提案した。今年度はの方法を、カイラル対称性のexplicit breaking(クォークの裸の質量)がある場合に拡張した。その際新たな発散の困難がでてくるが、強い相互作用のみならずいわゆるヒッグス粒子を導入しておけば、この新たな発散も除去できることがわかった。しかしながら、この手法を用いて実際に有効ポテンシャルを計算するには摂動論を用いるしかない。カイラル対称性の力学的破れを論ずるには、非摂動的な方法を用いる必要があり、現在その方法を開発中である。
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