研究概要 |
希土類金属間化合物のRCu_6系、R=La、Pr、Nd、Sm、Gdについて比熱測定を行い、それぞれの化合物における結晶場や時期オーダーを明らかにしてきた。特にこれらの化合物の内Nd、Sm、Gdの化合物においては複数の比熱のピークを発見した。最近高密度近藤系において指摘されている弱い磁気モーメントの磁気秩序との関連性への興味から、特にNdCu_6においてその逐次相転移と磁気秩序の関係を明らかにするために、磁場中比熱および交流帯磁率の測定による研究を行った。 1〕磁場中比熱 NdCu_6の逐次相転移は0.5Kの温度幅に4回もあるので、温度計への磁場の影響をさけた熱量計を開発した。これによってNdCu_6結晶の各結晶軸へ最大4.5Tの磁場を加えて比熱を測定した。H〓c、H〓bにおいては低温側の三相はそれぞれ0.6、1.5テスラで消失し、これら以上の磁場で一相になる。一方H〓dでは高温側の二相は4.5テスラになっても消失せず大きな異方性が観測された。またH〓bにおいては磁化測定で発見されているスピン・フロップ(磁化の飛び)に対応する一次相転移をH【approximately equal】3T附近に発見した。ネール点近傍でのこれらの三相はインコメンシェレイド相(高温)からコメンシェレイト相への相転移として理解できることを示した。これらは最近の中性子回折の実験結果で証明された。 2〕交流帯磁率 比熱測定法と同様な断熱状態での交流帯磁率の測定によって、各結晶軸方向における磁気モーメントの運動が明らかとなった。a,b軸方向では反強磁性転移に伴うX'及びX"の変化はそれぞれの転移点での弱い変化を示す。C軸方向では高温側での第一の転移は通常の反強磁性転移と変わらないが、その後の第二、三、四の転移は弱強磁性を示す大きなピークを示す。これらは比熱の零磁場ピークと良く対応している。
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