1.価数揺動物質GdB_6のESR GdB_6はCsCl型の結晶構造を持ち、ネール点が約16Kの反強磁性体として知られてる。ESRのそくてはFisk等が以前多結晶で行っている。我々は今回初めて単結晶による測定を行った。 結果は以下の通りである。 1)温度と線幅の関係:低温になるにしたがって線幅の増加が見られる。これは低温での短距離秩序が働いていると考えられる。 2)共鳴点:多結晶試料による実験では低温で低磁場への遷移が報告されていたが、今回の測定では、温度による変化は全く見られなかった。 3)非常にブロードではあるが反強磁性共鳴が見いだされた。 GdB_6はRB_6シリーズの中でも、Gd^<3+>(J=7/2)がS-state ionであることから、比較的単純な物質と思われてきた。しかし、電気抵抗やトルクなどの測定から得られた、反強磁性領域での奇妙な相転移については、今まで原因が明らかでなかった。この原因を解明するうえで有用な結果を得た。
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