ダイヤモンド、Si、Geなどの半導体において、ミュオンウム(μ^+e^-)の内部磁場の信号には二種類あることが実験的に確かめられて来た。その中の一つは、正四面体格子間位置にあるとして比較的容易に説明されて来たが、他の一つは永らくその素性が明らかにされず、異常ミュオニウムと名付けられて来た。 (1)本研究とはEstle等(Phys、Rev Lett 58・547 (87) )の示唆に基づいて、ダイヤモンド中異常ミュオニウムはC-Cポンドを42%近く押し広げてその中心に位置しているとして、局在軌道論に基づき、環境の効果をあらかじめ取り込んで収縮した局在軌道を基底として用いた自己無 着グリーン関数法によって、異常ミュオニウムとして実験的に観測されている内部磁場と非常によい一致を示す計算値を得る事に成功した。内部磁場の非対称成分の評価より、異常ミュオニウムに対する(たとえば、Vacaney associated modelのような)他のモデルの信頼性はほとんど消滅せざるを得ないという結論を得た。 (2)本研究では全エネルギーの計算よりミューオニウム安定位置を求めるという作業には未だ結論を見ていない。その為には、より大きなクラスターを採用して、それに対して、自己無 着グリーン関数法を適用する必要があり、進行中である。 (3)我々が用いている基底組 μ^+e^-が存在する時の局所格子歪を決定する基礎となる母体の凝集についての問題 (凝集エネルギー、平衡位置をどの位良く記述出来るのか未解決であったので、C、L_i、Feについて凝集エネルギー、平衡間隔を計算し、大体、他の計算方法による結果、実験、と比較して良い結果を得たので、論文投稿の準備中である。 (3)ダイヤモンド以外の半導体中ミュオニウムに対しても準備中である。
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