半導体中のミュオニウム(M^+e^-)の電子状態を研究するために、局在軌道-自己無種着グリ-ン関数法を用いた。その際、基底組として、環境の効果をあらかじめ取り込んで収縮させた局在軌道の最小組を用いた。 (1)基底組に対する検証 不純物近傍の格子歪を全エネルギ-の計算より決定するというデリケ-トな問題の過程で、我々の用いている最小基底組がその出発点である完全結晶の凝集をどの位記述できるのかを調べる必要が生じた。半導体としてダイヤモンド、単純金属として、Li、遷移金属としてFeをとり、その凝集エネルギ-と平衡原子間距離の計算を行った。その結果、我々の局在軌道最小基底組は、完全結晶の凝集を十分記述出来るものであることがわかった。 (2)ミュオニウムの安定位置の決定 我々のこれまでの研究では、C8個とミュオン1個からなる不純物領域を扱い、かつ広がったC-Cポンド長はEstle等により示唆されたものの近傍で変化させた。この不純物領域で全エネルギ-をポンド長の関数として計算すると、その変化範囲内では、極小値を見出すことは出来なかった。その原因として、不純物領域が十分大きくないという事が考えられる。故に、不純物領域を26C+1μ^+として、その中で自己無種着な計算を行うことを目指した。この変更によって、計算時間と必要メモリ-が膨大となり種々工夫を加えているが、未だ、十分な結論を得ていない。Forceによって平衡位置を決定する方式を取り込む必要があり、その完成にはまだ少し時間を要する状況である。 (3)他の半導体中のミュオニウム ダイヤモンドに外の母体半導体についての計算は(2)がある解決を見てから遂行する為に実行するに至っていない。
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