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1990 年度 研究成果報告書概要

局在軌課を用いた、グリ-ン関数法による半導体中異常ミュオニウムの電子状態の研究

研究課題

研究課題/領域番号 63540245
研究種目

一般研究(C)

配分区分補助金
研究分野 固体物性
研究機関静岡大学

研究代表者

浅田 寿生  静岡大学, 工業短期大学部, 教授 (90022269)

研究分担者 星野 敏春  静岡大学, 工業短期大学部, 助教授 (70157014)
研究期間 (年度) 1988 – 1989
キーワード局在軌道 / グリ-ン関数法 / 深い不純物 / ミュオニウム / 内部磁場
研究概要

ダイヤモンド、シリコン、ゲルマニュウム等の半導体において、ミュオニウム(μ^+e^-)の内部磁場の信号には二種類あることが実験的に確かめられてきた。その中の一つは、自由空間中のミュオニウムの信号に近く、正四面体の対称性をもった格子間位置にあるとして、比較的容易に説明することができたが、他の一つは永らくその素性が明らかにされず、異常ミュオニウムと呼ばれてきた。
"異常"と名付けられた信号の特徴は、それから推定されるμ^+位置での電子の存在確率が極めて小さくほとんどゼロであること、および、その位置は〈111〉対称性をもっていること、の二点にある。本研究は、Estle等(Phys.Rev.Lett.<58>___ー,1547('87))の示唆に基づき、ダイヤモンド中異常ミュオニウムに対し、μ^+C-Cボンドの中心にあって、そのボンド長を大きく(ほぼ42%)押し広げて位置しているというモデルに立って、局在軌道論に基づいて環境の効果をあらかじめ取りこんで収縮した局在化軌道よりなる最少基底組を用いた自己無どう着グリ-ン関数法によって、第一原理の計算を実行したものである。グリ-ン関数法は、不純物を含む無限結晶の系を、supercell法のような不自然な状況設定なしに、ありまのの解くものであって、その精度は基底組と、取りこむ不純物領域の大きさとに依存する。本研究では、局在化軌道の採用によって、計算の精度を損うことなしに、そのサイズを効率良く縮めることができ、これが方法論的側面から見た本研究の特徴の一つである。内部磁場の対称成分、非対称成分の計算値は、ボンド伸張度42%附近で実験値と非常によい一致を示した。特に、その非対称成分における一致は、異常ミュオニウムの存在位置に対する他のモデル(たとえば、vacancyassociatedーmodel)の可能性をほとんど排除したと言ってよい。計算結果の詳細な解析により、この系におけるCーμ^+e^-ーCボンド形成に対する物理的描像を定量的に明らかにした。計算機使用可能時間等の制約によってこれまでに完成されず今後に残された問題として、
1.forceの計算を取り入れた、局所的格子変形の第一原理からの決定、
2.平均的にボンド中央位置にあるμ^+の零点振動の効果の数量的解明、
の二つがある。そして、母体半導体をシリコン、ゲルマニウム、GaP,GaAsまで広げて、異常ミュオニウムの振舞の母体依存性を解明することがまたれる。環境が整うのをまって実行する予定である。本研究に関する発表論文を以下に同綴する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 星野 敏春,浅田 寿生,寺倉 清之: "Localized orbital approad to the electronic structure of anomalous muoniuon in diamond" Physical Review B. 39. 5468-5471 (1989)

  • [文献書誌] 寺倉 清之,浜田 典昭,片山 博,星野 敏春,浅田 寿生: "Hyperfine Interactions for impurities in Scmiconductors" Progress of Theoretical Physics. Suppl.No.101. 79-104 (1990)

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公開日: 1993-08-12   更新日: 2016-04-21  

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