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1988 年度 実績報告書

磁気共鳴手段によるフラストレーション状態下のスピンの動的挙動の解明

研究課題

研究課題/領域番号 63540248
研究機関京都大学

研究代表者

網代 芳民  京都大学, 理学部, 助手 (00025438)

キーワード相転移 / 三角格子反強磁性体 / スピンフラストレーション / 磁壁ソリトン / 磁気共鳴 / ABX_3型化合物 / CsCoCl_3 / CsNiCl_3
研究概要

六方晶ABX_3型化合物群は三角格子反強磁性体の性格をもち、その磁気相転移はスピンフラストレーションを強く反映している。その結果、相転移は抑制され、秩序相においてもスピンは異常に大きい揺らぎを示す。この揺らぎは広範囲の時間および空間領域に広がっている。したがって、核磁気共鳴、電子スピン共鳴、中性子散乱、光分光など多様な実験手段を用いてスピンの揺らぎを観測し、磁気秩序化過程におけるフラストレーションの役割を明らかにした。具体的にはイジング異方性をもつCsCoCl_3について磁壁ソリトンによるスピンの縦成分ゆらぎを微視的に解明し、ソリトンの伝達による部分格子磁化反転機構が、この系に特異的な部分無秩序相の存在に対して決定的に重要な役割をすることを明らかにした。ハイゼンベルグ+弱いイジング異方性をもつCsNiCl_3については、二段階逐次相転移過程におけるスピンの縦横成分の独立した秩序化の動的挙動を解明した。XY異方性をもつCsMnBr_3については、横成分スピンの秩序化によって生じるカイラリティ対称性を反映した新しいユニバーサリティを示す相転移の存在を、種々の臨界指数の詳細な測定によって実験的に検証した。このCsMnBr_3については、観測時間との関係により中性子散乱と核磁気共鳴とで副格子磁化の縮みの大きさが異なっており、これらと相補的なμSR実験を計画している。
更に、超強磁場測定および意図的に投入した不純物の影響について研究し、フラストレーション状態下の秩序状態が外部磁場および不純物による摂動に対して大きく影響されることを明らかにした。
対象物質群として、六方晶ABX_3型化合物以外に、より理想的な二次元三角格子反強磁性体モデル物質としてのABO_2型化合物についての研究にも着手したので、次年度はこの研究を推進する計画である。

  • 研究成果

    (21件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (21件)

  • [文献書誌] S.Maegawa: J.Phys.Soc.Japan. 57. 1402-1411 (1988)

  • [文献書誌] K.Amaya: J.Phys.Soc.Japan. 57. 38-41 (1988)

  • [文献書誌] H.Kikuchi: J.Phys.Soc.Japan. 57. 1887-1890 (1988)

  • [文献書誌] Y.Ajiro: J.Phys.Soc.Japan. 57. 2268-2271 (1988)

  • [文献書誌] Y.Ajiro: J.Phys.Soc.Japan. 57. 2648-2650 (1988)

  • [文献書誌] H.Kadowaki: J.Phys.Soc.Japan. 57. 2640-2643 (1988)

  • [文献書誌] H.Kikuchi: J.Phys.Soc.Japan. 57. 2628-2631 (1988)

  • [文献書誌] M.Chiba: J.Phys.Soc.Japan. 57. 3178-3187 (1988)

  • [文献書誌] H.Yamazaki: J.Phys.Soc.Japan. 57. 4343-4350 (1988)

  • [文献書誌] H.Kikuchi: J.Phys.Soc.Japan. 58. 43-46 (1989)

  • [文献書誌] Y.Ajiro: J.Phys.Soc.Japan. 58. 390-393 (1989)

  • [文献書誌] H.Kikuchi: J.Phys.Soc.Japan. 58. 692-702 (1989)

  • [文献書誌] Y.Ajiro: J.Phys.Soc.Japan. 58. 1021-1026 (1989)

  • [文献書誌] S.Ttakeyama: J.Phys.E. 21. 1025-1028 (1988)

  • [文献書誌] Y.Ajiro: Proc.2nd Yukawa International Seminar,Kyoto(1988)"Cooperative Dynamics in Complex Physical Systems". (1989)

  • [文献書誌] H.Kikuchi: Proc.2nd Yukawa International Seminar,Kyoto(1988)"Cooperative Dynamics in Complex Physical Systems". (1989)

  • [文献書誌] H.Kikuchi: J.Phys.Soc.Japan. (1989)

  • [文献書誌] I.Mogi.: J.Phys.Soc.Japan. (1989)

  • [文献書誌] Y.Katayama: J.Phys.Soc.Japan. (1989)

  • [文献書誌] M.Chiba: J.de Phys.(1989)

  • [文献書誌] H.Hori: J.de Phys.(1989)

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公開日: 1990-03-20   更新日: 2016-04-21  

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