研究概要 |
本年度の作業は、通常の並行方向の電気抵抗を初めとする、面内での輸送効果測定と、He_3温度までの垂直方向抵抗測定と熱電能測定を可能にするためのHe_3測定装置の組み上げが進められた。 1.並並方向輸送効果測定は、(a)2成分が金属間化合物をつくるAl/NiおよびAl/Ag系と(b)互いに固溶する組成変調系であるCu/Ni系について行われた。 (a)同じA1に対し、結晶構造・格子常数がきわめて近いAgと、逆に面内原子密度の大きく異なるNiを組み合わせ比較することがこの系を選択した理由である。これまでに非固溶のAg/Niで測定を行い、磁気抵抗の積層周期依存性におけるピーク、ホール効果による表面異方性等興味ある結果を得てきたので、これを広く超格子系で比較することは興味あることと考えた。現在の所Al/Niで積層周期の減少に伴うホール係数の変化がAg/Niと異なり、Superparamagnetic clusterの存在の可能性を示した。Al/Agについては、ホール係数が積層周期の現象と共に正方向に変化し、やがて正の値に符号変化する振舞いを見いだした。xー線では見えない界面領域での金属間化合物の生成の可能性を示唆している。 (b)Cu/Niではこれまで報告されている、抵抗率の異常な減少(積層周期が小さい場合の)は見いだされず、正常な依存性を観測した。ホール効果から見積られた、表面異方性はAg/Ni,Al/Niに比較してきわめて小さいことがわかった。積層周期(15オングストローム)のものでは、Tcが〜200Kまで減少していることが、抵抗、ホール効果の測定で明瞭に見いだされ、どうじにミクト磁性的振舞いが見いだされた。 2.He_3測定装置については、0.5K〜での電気抵抗(SQUID電圧計を組み込み垂直方向抵抗測定も可能)と熱電能測定をめざし、全て部品が揃い、現在組み上げ中である。まもなく稼動を開始する予定である。
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