昨年度Al/Ni系で我々は電気抵抗の温度依存性に、約15Kに最小を見いだした。原因として考えられるのは、近藤効果と局在効果である。磁気抵抗効果が正で、低温領域で大きな温度依存性が認められないことは、近藤効果ではないことを示しているが、温度依存性を正確にフィットして確かめる必要が有るが、これまでの1.5Kまでの測定では不十分であり、He_3冷凍機による測定を準備した。その結果は、極在効果であることが判った。 我々は電流磁気効果を、同じNiに対し、Ag、Al、Cuを相手とする人工格子について統一的に測定し、組合せ効果を調べた。その結果Niの強磁性の積層周期依存性が相手により大きく異なること、つまりAgでは磁化はあまり変化せず、Alでは〜十オングストロ-ムで磁化を失い、Cuでは連続的な磁化とキュウリ-点の減少が観測された。Cu/Niについては直接の磁化測定と矛盾する部分もあり、現在検討中である磁気抵抗についても、組合せにより変化に富んでおり、いずれの場合にもきれいな積層周期依存性がみられ、結果は界面での、伝導電子の部分的通過が磁気的散乱を含んでいることを示唆している。Cu/Niの積層周期の小さい試料では、磁場中冷却の効果がみられ、何等かのスピン凍結が有ることを示しており、界面でスピングラス的な部分ができていると解釈される。 垂直抵抗に関しては、電流電圧端子のNb層と試料界面間の電圧降下寄与の存在のため、比抵抗の絶対値を決定するのにまだ問題があるが、誤差を考慮に入れた、垂直抵抗と面内抵抗の比較から、界面での伝導電子が、鏡面反射ではなく鏡面的通過が存在することを証明できた。 Al/Niについては、熱電能の周期依存を測定し、周期の減少に伴う熱電能の増強を観測した。
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