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1988 年度 実績報告書

モリブデン・クラスター化合物における強磁性発現

研究課題

研究課題/領域番号 63540259
研究機関大阪府立大学

研究代表者

野口 悟  大阪府立大学, 工学部, 助手 (70180718)

研究分担者 奥田 喜一  大阪府立大学, 工学部, 助教授 (50028205)
キーワードクラスター化合物 / 強磁性体 / 磁性半導体 / スピネル相 / モリブデン化合物
研究概要

Ga_<0.5>Mo_2S_4は四面体モリブデン・クラスターを形成し、クラスター間がお互い4.05〓離れた孤立クラスター系として位置づけられる。この物質は低温において強磁性磁気秩序を生じ、これは、モリブデン化合物として最初の特異な例である。この構造の特異性による物性を明らかにするため、以下の手順により測定を行った。
1.試料合成:原料のGa_2S_3、MoS_2、Moを混合、加圧成型し、高圧反応炉を用いて1100℃、50kg/cm^2のアルゴン雰囲気中で2回焼結した。
2.X線による構造解析:粉末X線回折を行い、得られた試料がF43mの低対称スピネルの単一相であることを確認した。
3.電気抵抗測定:電気抵抗は半導体特性を示し、高温部(T≧450K)の温度依存性からエネルギーギャップ0.4eVと評価された。
4.磁気測定:高温帯磁率はキュリーワイス則x=C/(TーΘ)に従い、有効磁化μ_<eff>=1.74μ_B/4Moと評価された。また、45K付近で反強磁性的から強磁性的温度依存性に変化した。次に、4.2Kでの強磁場磁化測定から飽和磁化は0.91μ_B/4Moと評価された。
5.比熱測定:比熱の温度依存性は、T_P=43.96±0.11Kに構造相転移による鋭いピークを示し、帯磁率の反強磁性から強磁性的振舞への変化はこの温度に対応する。低温側ピークから強磁性転移温度T_C=18.96±0.20Kと決定された。
6.高圧効果:高圧下における電気抵抗の温度依存性を測定し、45GPaにおいて半導体ー金属転移を見いだした。
これらの結果から、この物質ではモリブデンの四面体クラスターに1μ_B近い磁気モーメントが発生しているとして現象をよく説明することがわかった。今後、NMR、中性子回折等ミクロな解析によりMoクラスター内の電子状態を明らかにして行きたい。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 奥田喜一: 固体物理. 23. 723-728 (1988)

  • [文献書誌] 野口悟 他: to be published in J.Phys.Soc.Jpn.

  • [文献書誌] 野口悟 他: to be published in J.Phys.Soc.Jpn.

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公開日: 1990-03-20   更新日: 2016-04-21  

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