4f電子を持つ化合物の中で、特に重い伝導電子系を形成すると考えられているCeNiと、その参照物質としてのLaNiの高純度単結晶を作製し、高磁場磁気低抗効果及びドハース・ファンアルフェン(dHvA)効果を測定して、そのフェルミ面を調べた。 単結晶試料をチョコラルスキー法で作成し、さらに高純度化を目的として、固相電解法による精製を行った。その結果、残留低抗案がLaNiで0.13μΩ・cm(残留低抗比RRRにして200)、CeNiで3.5μΩ・cm(RRRにして160)の高純度試料を得ることに成功した。 温度1.5K〜0.5K、磁場15Tまでの条件下で、横磁気低抗P_Hを測定した。その結果LaNi、CeNiともに(i)電子と正孔の数が等しい補償された金属であること、(ii)磁場をa軸方向及びc軸方向にかけたときのいづれの場合にも、b軸方向への開いた軌道を作るような多重連結したフェルミ面を持つこと、(iii)さらにb軸方向に磁場をかけたとき、c軸方向への開いた軌道ができること、がわかった。またP_Hの方向依存性および磁場依存性ともに、LaNiとCeNiで差異はなく、フェルミ面が大筋で同じ形をしていると考えられる。 LaNiではdHvA効果を測定することができた。dHvA振動数0.6MGから、100MGにわたる4つのブランチが測定され、結果は、b軸方向に軸をもつ円筒形のフェルミ面が存在することを示唆している。またb軸方向で1.5MG及び40MGの振動数をもつ振作に寄与している電子の有効質量は、それぞれ0.93m_o及び1.85m_oであった。 今後さらにCeNiのdHvA効果を測定するとともに、ここで得られた結果をバンド計算の結果と比較検討して、フェルミ面の全体像を明らかにしてゆく計画である。
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