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1988 年度 実績報告書

金属表面における吸着子の動的現象に関する理論的研究

研究課題

研究課題/領域番号 63540274
研究機関大阪大学

研究代表者

興地 斐男  大阪大学, 工学部, 教授 (20029002)

研究分担者 笠井 秀明  大阪大学, 工学部, 講師 (00177354)
キーワード摩擦係数 / エネルギー散逸 / 昇温脱離スペクトル
研究概要

表面における吸着子(原子、分子)がもたらす動的現象、例えば吸着、脱離、拡散などを支配する要因の一つしとて吸着子のもつエネルギーの表面自由度への散逸が考えられる。本年度は特に金属表面の電子系へのエネルギー散逸に着目し、アンダーソンモデルの枠内でその厳密解を授用し、吸着子の摩擦係数の低温での振舞を調べた。その結果、吸着子の摩擦係数が低温で強い温度変化および磁場変化を示すことが分かると共に、有限磁場のもとでは強い場所依存性のあるこも分かった。さらに吸着子の動的過程が電子状態の遷移を伴い、非断熱効果が強く現われる場合について、時間に依存するニューンズ・アンダーソンモデルを用いてエネルギー散逸機構に及ぼす非断熱効果を調べた。金属表面での吸着子の散乱過程において、散乱後の電子系のエネルギー変化の分布P(ε)を散乱前および散乱後の吸着子の荷電状態に分解して計算することが出来た。その結果、P(ε)は吸着子の荷電状態に強く依存することが見出され、弾性散乱や電子・正孔対励起によるものの他に、吸着子のイオン化(中性化)に伴なうものも計算できた。また固体表面の温度を上昇させたときに見られる吸着子の脱離スペクトル(TDS)の解析も行なった。Pt(111)表面に吸着したNO分子のTDSはNO分子の被覆率の小さいときには高温側の主ピークのみからなるが、被覆率の大きいときにはスペクトルの低温側にもピークが現われ、さらに高温側の主ピークも特徴的構造をもつことが実験的に見出されている。ここでは、NO分子の吸着状態を格子気体モデルデで記述し、絶対反応速度論に基づいてTDSの計算を行なった。その結果、被覆率の大きいとき、吸着子間に働く相互作用のために低温側のピークが作られ、さらに吸着子が脱離する前にonーTop siteからbrige siteへ移動するために高温側の主ピークに特徴的構造のもたらされることが分かった。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] A.Okiji: Physical Review B. 38. 8102-8108 (1988)

  • [文献書誌] H.Nakanishi: Surface Science. 197. 515-527 (1988)

  • [文献書誌] H.Kasai: Journal of Physical Society of Japan. 57. 2249-2252 (1988)

  • [文献書誌] H.Nakanishi: Surface Science. (1989)

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公開日: 1990-03-20   更新日: 2016-04-21  

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