研究課題/領域番号 |
63540274
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
興地 斐男 大阪大学, 工学部, 教授 (20029002)
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研究分担者 |
笠井 秀明 大阪大学, 工学部, 助教授 (00177354)
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キーワード | 準安定励起ヘリウム原子の表面散乱 / 振動するCOの酸化反応 / 表面でのイオン散乱におけるエネルギ-散逸 / 表面での分子振動励起 |
研究概要 |
本年度得られた成果を以下順に述べる。1.励起(1s2s)He原子の荷電状態やスピン状態については、2s電子と金属表面電子系との相互作用によって、表面でオ-ジェ過程による脱励起の生じるまでに一重項He^*は高い確率で三重項状態に変換されることがわかり、J.LeeらやW.Sesselmannらの実験結果の理解できることがわかった。2.Pt(100).(110)面でのCDの酸化反応に見られる振動現象については、Ertlらによって詳細に調べられており、表面に吸着する分子が誘起する表面構造の変化と密接に関係していると考えられている。さらに酸素の分圧に強制振動を加えるとき、さまざまな応答も観測された。そこで、Pt表面でのCOの酸化反応を記述する方程式に基づいて強制振動を加えたときのこの系の応答を調べた。その結果、準周期振動のほかに、外部から加える振動に引き込まれ同期するエントレインメントとよばれる応答も見いだされ、実験結果が定性的に説明できることがわかった。3.金属表面での原子やイオンなどの粒子の散乱過程におけるエネルギ-散逸について時間に依存するニュ-ンズアンダ-ソンモデルの枠内で調べている。モデルに含まれている粒子上の2電子間に働くク-ロン相互作用を無視した計算結果は既に発表しているが、現在このク-ロン相互作用の効果について調べている。散乱後の電子系のエネルギ-変化の分布に現われるこの効果としては電子・正孔対励起に起因するピ-クを増強する効果やオ-ジェ過程によるピ-ク構造をもたらす効果などを見いだしている。4.Ag(111)表面での散乱過程におけるNO分子の振動励起については、入射分子の運動エネルギ-が増加するにつれて、マスタ-方程式では記述できない非マルコフ性が振動励起過程に現れている事が分かり、これをケルデイシュグリ-ン関数を使って考慮し実験結果の説明を試みている。
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