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1990 年度 実績報告書

金属表面における吸着子の動的現象に関する理論的研究

研究課題

研究課題/領域番号 63540274
研究機関大阪大学

研究代表者

興地 斐男  大阪大学, 工学部, 教授 (20029002)

研究分担者 笠井 秀明  大阪大学, 工学部, 助教授 (00177354)
キーワードCO酸化反応 / 金属触媒作用 / 解離吸着 / 分子振動 / 非断熱効果
研究概要

本年度得られた成果を以下順に述べる。1.Pt(100)面、(110)面でのCO酸化反応と同様にPd(110)表面でのCOの酸化反応にも振動現象が見いだされている。Pd表面でのCO酸化反応において振動現象の生じる原因は、Pt表面の場合とは異なり、Pd(110)表面に解離吸着した酸素原子が表面下に移動することができ、この表面下酸素の存在する場合と存在しない場合とでCOの酸化反応速度の異なることにあると考えられている。ここでは、このような表面下酸素の効果をPd(110)表面でのCO酸化反応を記述するレ-ト方程式に考慮し、それに基づいてCO分圧や酸素分圧あるいは、表面温度などの外部変数によってCO酸化反応速度が変化する様子を調べた。その結果、実験で観測された振動現象を定性的に説明できることがわかった。2.H_2(D_2)/Cu,Pd系などの解離吸着系において、Vibrationally Assisted Stickingと呼ばれる現象や、Vibrational Heating in Desorptionと呼ばれる現象が見いだされている。ここでは、水素分子・金属表面系のポテンシャル・エネルギ-曲面上での水素分子のダイナミックスについて、反応経路の概念に基づくCoupled Channel計算を行い、解離吸着過程における分子内振動エネルギ-の役割や会合脱離してきた分子の振動状態分布を調べた。その結果、実験デ-タの定性的な説明のできることがわかった。3.金属表面吸着分子の振動緩和が金属表面電子系へのエネルギ-散逸によって生じる場合について、その緩和過程に現れる非断熱効果をケルディッシュ・グリ-ン関数を使って調べた。吸着分子の振動は、時間が長い場合は、時間に関して指数関数的に緩和するというよく知られた結果が得られた。さらに、時間が短い場合は、非断熱効果による振動を伴う緩和過程が見られることがわかった。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] H.Kasai: "Vibrational Excitation of Diatomic Molecules Interacting with Metal Surfaces:Heating vs.Cooling" J.Electron Spectrosc.Relat.Phenom.54/55. 153-161 (1990)

  • [文献書誌] H.Kasai: "NonーAdiabatic Effects on Electronic Damping of Adsorbate Vibrations on Metal Surfaces" J.Electron Spectrosc.Relat.Phenom.54/55. 163-171 (1990)

  • [文献書誌] M.Mizuno: "Thermal Desorption of Molecules Coadsorbed on Metal Surfaces" Surf.Sci.

  • [文献書誌] H.Kasai: "Vibrational Excitation Dynamics in MoleculeーSurface Scattering" Surf.Sci.

  • [文献書誌] H.Nakanishi: "Electron Correlation Effects on Charge Transfer and Energy Dissipation in Atom or Ion Scattering from Metal Surfaces" Surf.Sci.

  • [文献書誌] T.Yamamoto: "Kinetic Oscillations in the Catalytic CO Oxidation on Pd(110)" J.Phys.Soc.Japan. 60. NO.3 (1991)

  • [文献書誌] A.Okiji: "Dynamics of Adsorbed Molecules at Surfaces in Proceedings of the third NEC Symposium(1990)" Springer Verlag,

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公開日: 1993-08-11   更新日: 2016-04-21  

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