研究課題/領域番号 |
63540275
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
宇田川 眞行 広島大学, 総合科学部, 助教授 (70144889)
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研究分担者 |
渡部 三雄 広島大学, 総合科学部, 教授 (20004286)
大林 康二 広島大学, 総合科学部, 教授 (20013518)
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キーワード | 希釈冷凍器 / フェルミ縮退液体^3He / ラマン散乱 / スティルスキップ型希釈冷凍器 |
研究概要 |
昨年度の研究では、縮退フェルミ液体^3Heの素励起のマラン散乱スペクトルを測定するための中心機器となる希釈冷凍器の自主制作を行なった。昨年度の段階では、日本真空PMB-001メカニカルブ-スタ-と大亜真空RP150油回転ポンプの小型排気系によって^3He循環量10μmol/secで、最低到達温度150mKga得られた。この結果は窓を設置していない場合の結果であったので、上記測定の目的に対して不十分な仕様であった。本年度は上記目的の仕様を得るために、最低到達温度と冷却能力の向上を計り、窓設置による熱流入の効果を明らかにした。最低到達温度と冷却能力の向上は、希釈冷凍器の動作原理から主に^3He循環量の増大によって可能となる。本年度は昨年度の小型排気系の他に日本真空PMB-006メカニカルブ-スタ-とDR-950油回転ポンプの大型排気系を増設した。その結果、窓を設置した状態において、100μmol/secの循環量のもとに最低到達温度100mKが得られた。窓の設置による室温からの熱流入は30μW程度と得られ、事前の評価値とほぼ一致した。更により高循環量を得るために、分溜器で熱交換を行なわない分溜器スキップ型希釈冷凍器を考察した。その結果、最低到達温度70mKが循環量120μmol/secで得られ、100mKでの冷却能力は窓を設置しても40μWとなった。これは4mW程度のレ-ザ-による熱流入に相当する。このように分溜器スキップ型は比較的小型排気系でも高循環量を得ることが出来るシステムであることが明らかになった。今後は100mKで1mW程度の冷却能力の希釈冷凍器を制作し上記課題の研究を継続して行ない、縮退フェルミ液体中の素励起の特徴をボ-ズ液体の素励起との対応から明らかにして行く。
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