1 この研究計画の柱となる新しい電子論の有効性の一つのチェックとして、ウルツ鉱構造の物質の構造パラメータの電子論による導出を試み、期待通りの成果を得て現在論文のまとめをおこなっている。またAgI、CuI等の超イオン伝導体について、その構造上の特徴を電子論的に解明することを試みている。 2 ペロブスカイト型酸化物のバンドに関する情報を整理し、バンドを記述するためのパラメータの集収、訂正、更新の作業を進めた。また構造相転移に現われる物質による特徴的な相違を理解する基礎データとして、現象論のパラメータの集収整理をも開始した。この作業では混晶についてのデータが非常に有用であることがわかったので、混晶の理論の拡張、精密化を試みている。 3 ペロブスカイト型酸化物の構造転移においては、格子振動および非調和相互作用が重要になるのでそれと電子論との関連に注意しながら、量子効果によって強誘電性が発現しないいわゆる量子的常誘電体の物性の理論を発展させた。 4 誘導積層構造の発現機構に電子論的な光を与える目的で、結晶構造の特徴と化学結合イオン性等のかかわり合いを調べ始めた。
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