1.KTaO_3等のいわゆる量子常誘電体の低温における振舞い、特に誘電率に現れる異方性の定量的理解のために分極のゆらぎを量子論的に扱い自己無憧着フォノン理論の枠内で量子誘電性の発現する条件についてより詳しい条件を設定することができた。 2.ペロブスカイト構造物質の混晶において、組成比によって著しく変化する物性の起源を説明するための基礎論として従来の現象論をさらに精密化し、また混晶においてのみ発現する強誘電性の起因として電子エネルギ-帯の乱れによる拡がりが寄与する可能性を理論的に検討した。 3.ペロブスカイト構造より誘導された積層構造をもつ高温酸化物超伝導体の理論的研究を、オ-ストラリヤ・メルボルン大学と共同で開始した。現在知られて実験事実のみを基礎にして、最も一般的統一的な統計力学的扱いを定式化し、古典的超伝導とは異質の機構で超伝導性が発現しうる可能性いくつか指摘し、酸素欠陥などにより導入される酸素の位置にできる空孔の役割について詳細な考察を試みた。
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