1.ペロブスカイト型酸化物のバンド構造を、遷移金属イオンのd軌道と酸素イオンのp軌道の混成によって作られるσーバンドとπーバンドを少数のパラメ-タで物質ごとに特定し、そのデ-タを集収した。 2.量子誘導電体の極低温における振舞を自己無接着フォノン理論によって説明し、実験との定量的一致を得るためには、モ-ド間相互作用を考慮することが必要であることを示した。また双極子相互作用に起因する異方的な分極のゆらぎの効果を詳しく調べた。 3.量子誘電体に一軸性の圧力を加え、あるいは混晶を作ることによって強誘電性が発現する機構を電子論的に解明、特にNaTaO_3とKTaO_3の混晶について詳しい計算を実行し、電子論的な考察が有効であることを示した。 4.ペロブスカイト酸化物に圧力を加えることによって生ずる電子構造の変化を理論的に調べ、ソフトフォノンの分散関係の圧力効果を与える基礎式を導いた。 5.ペロブスカイト構造から誘導される積層構造の酸化物に見られる高温超伝導現象を、従来の低温超伝導と対比し、その構造の相違を明白にする目的で一つの量子力学的取扱いを展開した。 6.酸化物のバンド構造を特徴づける理論パラメ-タの物質による差を導く方法論の有効性を知る参考として、同じ方法を単純な絶縁体に応用した結果について考察した。
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