研究概要 |
1988度に新しいアイデアによる金属原子ビ-ム源を設計し製作し,現有の電子スペクトロメ-タ-に取りつけた。我々はこの新しくつくられた装置を使用して次のような実験をした。 電子衝突電離にひきつづいて生ずる希ガスのオ-ジェ放出電子の衝突後相互作用の研究を実験的に行なった。Xe,Kr,Arのオ-ジェ電子のスペクトルを電離のしきい値の少し上から数キロ電子ボルトの範囲にわたり衝突エネルギ-を変化させて測定した。オ-ジェ電子の波形をプロファイルの式を使って解析した。更にその解析は散乱電子と放出二次電子のエネルギ-分布も部分的に考慮されている。衝突後相互作用効果は高い余剰エネルギ-では行こらないことを発見した。 1989年度には装置を改良し,内殻電離の部分断面積を実験的に求めた。Xeの4d,Krの3d,Arの2P電子の部分電離断面積をオ-ジェ電子分光法により測定した。オ-ジェ電子の生成率は実用的に1であるので内殻電離断面積は全オ-ジェ電子の放出断面積から直接的に求めた。Xeの4d電離の断面積はKrの3d電離,Arの2P電離の断面積よりも圧倒的に大きい。Xeの4d電離の断面積は80evから急に立上がり,135evあたりに最初の山を形づくり,それから一度減少し谷をつくり,500evあたりに第2の山を形づくる。最初の山の形は巨大共鳴の形を示している,一方第2の山は主に断面積そのものによって表われるものと考えられる。
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