立方体の容器の中に閉じ込められたMHD流体中に発生する乱流の特性を調べ、乱流ダイナモの機構を調べるため、三次元MHD乱流の数値シミュレーションを行った。境界条件は3方向共に周期境界条件を課し、数値シミュレーションの方法にはスペクトル法を用い、非線形項の評価には擬スペクトル法を用いた。今年度は、計算時間を節約するために我々の考案した超対称性の仮定を用い、さらに計算機の記憶容量を節約するために超粘性の仮定を用いた。結果として、速度場および磁場のエネルギースペクトル・ヘリシティスペクトル・エネルギー・渦度強度・ヘリシィ等の時間発展の仕方が明らかになり、乱流ダイナモ効果には磁気レイノルズ数に臨界値が存在することを示した。また、数値シミュレーションの結果を三次元グラフィックス出力装置に出力し、乱流中における渦度場・磁場の大規模構造を調べた。その結果、渦度場が成長するときには筒状の形が形成され、それに従って磁場が強くなり、筒状の渦度場をとりかこむ形で磁場が成長することがわかった。 成長した渦度場・磁場は決して定常状態に達することなく、再び弱くなり、渦度場・磁場の大規模構造が消失する。しばらくするとまた渦度場、磁場が成長するというパターンがくり返し起る。 統計的には大きい時間スケール(t〜200)での周期で現象がくり返される。 今年度中に得られた成果のうち、MHD乱流の統計的性質に関する部分とMHD乱流中の渦度場・磁場の大規模構造に関する部分の二つについては現在論文にまとめている。なおこれらの成果は京都大学数理解析研究所における研究会、日本物理学会年会・分科会、文部省統計数理研究所における研究会等で口頭発表を行った。今後の研究の予定としては、超対称性および超粘性を持たない、より一般的なNHD乱流、特にトーラス状の容器に入ったMHD乱流のシミュレーションを計画している。
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