宇宙及び地球周りにおける大規模磁場の生成機構を解明するために三次元MHD乱流の数値シミュレ-ションを行った。昨年度は立方体の中のMHD流体が超対称性を持ち、超粘性を持つときに発生する乱流の大規模構造とその統計的性質を調べるため、数値シミュレ-ションを行った。今年度は超対称性及び超粘性の仮定を取り払った、より現実に近い場合の乱流の性質と円柱容器内のMHD流体中に発生する乱流場の構造を調べることを中心課題として研究を進めた。併せて、昨年の研究をさらに継続して行い乱流中の磁場及び速度場の構造を詳しく調べた。 その結果次のことが明らかになった。 1.乱流のダイナモ効果については流体の粘性率はあまり関係なく、むしろ磁気拡散率でほぼ決まることがわかった。また、臨海磁気拡散係数は0.00002であることがわかった。 2.結果として得られる磁場および速度場をグラフィック表示し、視覚的に分かりやすい形で表現した結果、MHD乱流中には、外力の形に関係した磁気リングが形成されていることがわかった。また、MHD乱流中に形成される過度場の大規模構造を調べ、過度場の大規模構造と、乱流ダイナモ効果との関係を調べた。 3.対称性を仮定しない場合の、通常粘性を持つ三次元MHD乱流の数値シミュレ-ションを行った結果も、対称性を仮定した超粘性を持つMHD乱流の場合とほぼ同様の結果を得た。しかし、この場合には、まだ十分に高いレイノズル数の計算が終わっていないため、まだ結論を出すことができない。 4.円柱の容器中に閉じ込められたMHD液体中の乱流の数値シミュレ-ションについてはそのプログラミングを終え、準備的な計算を行っている。
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