研究概要 |
本研究においては、当初の実施計画において取上げた乱流の大規模渦構造である、1.乱流混合層における2次元渦構造、2.管内流における3次元渦構造、3.自然環境における渦構造のうち、2.について最も具体的な結果が得られている。 管内流としては、最も基礎的で工学的には重要である長方形管流を対象とし、定常層流および攪乱の流速をいずれもルジャンドル多項式に展開することによって、定常層流の速度分布を求め、その安定性を調べた。 結果として、定常層流は攪乱の4つのモ-ドのうちの2つに対して不安定であり、残りの2つに対して安定であることが分った。最も不安定なモ-ドの攪乱に対しては、層流は、臨介アスペクト比a_c=3.2を境として、それ以下では安定、それ以上では不安定となること、および、不安定領域での臨介レイノルズ数Rcの値はaの増加と共に単調に減少し、a=3.5で36600、4で18400、5で10400、6で8200、8で6,800、∞で既存の値5772に一致することが示された。もう一つの不安定モ-ドに対しては、aの同じ値に対して層流はより安定であり、a=6で31500、8で11000、a【approximately equal】5以下で安定となることが分った 管内流における乱流の3次元渦構造を理論的に求めるには、層流の有限振幅攪乱に対する非線形安定性を調べる必要である。現在、非線形解析が進行中であるが、予備的な計算結果として、実験的な乱流2次流と定性的に同じ流線図が得られている。 自然環境における渦構造を調べるために、模型水槽内のKarman渦列の写真画像解析によるリモ-トセンシングを工夫し、海流、雲などの各種渦現象のリモ-トセンシング解析を進めている。
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