TVカメラによる桜島南岳の表面活動の画像記録および超低周波マイクロホンによる空気振動の観測を実施し、火山性震動、特にB型地震の発生と火山体の変形・表面活動の関係を検討した。 1.活動期には、震動エネルギーのレベルが低い時間帯には表面活動のレベルが低下し山頂部地盤が隆起する傾向がある。爆発的噴火の直前数10分間は噴気活動が停止し、急数に隆起する。 2.B型地震と呼ばれる火山性微小地震は、1ー3Hzが卓越するBLと、4ー8Hzが卓越するBHに区分できる。共に山頂火口の直下で発生するが、BLが2Km爆発地震の震源域の下限以浅で発生するのに対して、BHの震源域は1ー3Kmと深くなっている。BHおよび孤立型のBLの90%以上は、桜島内の8観測点で初動が「押し」として観測される。但し、群発中のBLの3ー4割は全点で初動が「引き」となる。 3.BLが群発している時と、BHが多発している時の表面現象および地盤変動は対照的であることが分った。 (1)BLが群発している時間帯と一致して、山頂部の地盤は急激に沈降する。火山灰を含む噴煙の放出が認められる。夜間の場合、ストロンボリ式噴火に似た間欠的な噴石の放出や微弱な空気振動が観測されることがある。マグマが火道から溢れ出る過程でBLが群発すると考えられる。BLは火道浅部でのマグマの発泡現象に深く係わっていると推定される。 (2)BHは、急激な山頂部地盤の隆起過程およびその後の隆起停滞期に多発する。BL群発中のような火山灰の噴出は認められない。震源域が火道下部まで延びていることを考え併せると、BHはマグマが深部から火道へ急激に上昇・貫入する過程で多発すると推定される。
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