昨年度は桜島火山のB型地震を卓越周波数を基準に、短周期成分が卓越するBHと長周期成分が卓越するBLに区分して、それぞれ震源分布、初動分布、地盤変動表面活動との対応関係を調べ、BHはマグマの火道への貫入過程に、またBLはマグマの火口底への上昇発泡過程に関係することを明らかにした。 1.今年度は、トカラ列島の活火山、諏訪之瀬島火山で地震および空気振動の観測を実施して、同火山の地震活動と噴火活動の関係および爆発的噴火に伴う地震動および空気振動の特徴を桜島との比較検討を行った。 (1)桜島で観察される火山性地震(3種類)および微動(2種類)の全てが諏訪之瀬島でも観察された。このことは、桜島火山で観測される火山性地震・微動が安山岩質火山では普遍的に発生していることを示している。 (2)諏訪之瀬島の爆発的噴火活動に先立ちB型地震の発生頻度が増大する。この現象は桜島や浅間山で幾度も観察されていることで、安山岩質火山の噴火活動にいたる過程に共通性があることを示唆している。 (3)諏訪之瀬島の爆発的噴火に伴う地震動・空気振動の振幅・強度は桜島の爆発より小さく、BLより大きい。このことは、諏訪之瀬島の爆発が、放出火山灰量および火山弾の放出速度が桜島の爆発より小さく、BL群発より大きいことと対応する。また、地震動および空気振動の周期は桜島の場合より短い。このことは、諏訪之瀬島の火道の直径が桜島より小さいことを示唆している。 2.2年間の研究成果を報告書として取りまとめ出版した。
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