1.地殼の微小ひずみ変化を精度良く測定するための新しい観測方法として、ホログラフィ干渉計測法の原理に基づく観測システムが1984年に京大防災研究所において開発された。このシステムを用いた地殼変動連続観測が、天ケ瀬地殼変動観測室(京都府宇治市)において、長期間続けられているが、本研究では、月及び太陽の引力によってひきおこされる地殼の潮汐ひずみ変化のみに焦点を絞り、天ケ瀬観測室のレーザーホログラフィ観測システムで得られた観測データーを、同観測室に既設のレーザー伸縮計の記録と合わせて解析し、潮汐力による観測坑道の微小変形の空間的な特徴を明らかにした。 2.これとは別に、移動型のレーザーホログラフィ装置を用いた臨時観測を岩倉地殼変動観測室(京都市左京区)において実施し、潮汐ひずみ変化の精密観測を行った。得られた観測データーを、同観測室に既設のスーパーインヴァール棒伸縮計の記録とともに解析し、岩倉観測室の潮汐ひずみ変化の局所的な特徴を明らかにすることができた。 3.さらに、奨来、近畿地方の他の場所においてもホログラフィ装置を用いた移動観測を行うための予備調査を、逢坂山地殼変動観測所(大津市)及び六甲地殼変動観測室(神戸市)において実施した。 4.天ケ瀬地殼変動観測室では、レーザーホログラフィ記録装置を写真乾板を使用せずに干渉計測を行い得るようにするための装置の改良を進めている。将来、半円形のドーム状の天井を持つ地下観測室を新たに掘削し、そこにホログラフィ記録装置を設置し、天井に向けてレーザー光を照射することにより、ドームの変形を干渉じま計測の方法で常時監視すれば、地殼応力の時間的変化を観測することができ、地震予知に貢献できると考えられる。
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