今年度は、主にモデルの開発およびその応用を行った。(1)2次元数値モデルの開発:このモデルに含まれる物理過程は、力学過程、氷を含まない雲物理過程、サブグリッドスケールの乱流による混合過程である。力学過程として、山岳のような地表面の凸凹による効果を考える事ができる。スケールが百mから数kmのグリッドで扱える非静水圧の一通りの問題に応用できるように、モデルを作った。このモデルの応用として、雲物理過程を除いて、海陸風・山谷風の数値実験を行った。グリッドサイズが300mと細かく、従来の静水圧近似のモデルで再現しにくかった海風前線の微細構造や陸上の対流混合層など非線水圧的現象がかなりよくシミュレートできた。これから、山岳がある場合の力学過程を混合過程がこのモデルではよく表現されている事がわかった。また、トレーサーの動きも追跡したが、対流セルによる運動とより大きなスケールの運動によって移流されるため、かなり複雑な奇跡を描き、これらは従来の静水圧モデルにない結果で、局地風を研究しているグループに1つの刺激を与えた。(2)3次元数値モデルへの拡張:私たちに関心のある積雲活動は一般に3次元であるので、2次元モデルを3次元に拡張するようにした。物理過程は2次元と同じである。したがって、このモデルの拡張作業自体はたいした事はなかったが、スーパーコンピューターの特性を生かすためにプログラムをベクトル化するのに時間がかかった。水平2方向を1次元にして、計算の効率化に努力した。今年度は、このモデルのチェックで終わったが、次年度はこのモデルを使って、地形性降水の具体的なケースに応用する予定である。現在のところ、台湾で行なわれたTAMEXの観測、ハワイ島に見られるレインバンドなど地形が降水現象に効いていそうな事例について数値実験を考えている。
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