1.現在得られている観測試料(1957〜1989年、1972年以降は一部のみ)に基づいて、水深400mまでの水温・塩分分布の解析を行った。 (1)水温・塩分とも年変化がみられなくなるのは300m以深である。 (2)100m深では、水温2.0℃、塩分34.1%[_<0]>の等値線が、通年ほぼ北緯40度線に沿って存在する。すなわち、中層においては、いわゆる、日本海固有水は、対馬暖流系の中層水とは不連続的に接している。このことは、100m深における緯度経度1度区画内の月別の水温の標準偏差が日本海中央部で常に最大値を示すことと一致する。 (3)表層、中層とも、月平均水温の水平分布図で、等温線が密集している部分は、一般に対馬暖流域とは一致しない。このことから、日本海表層の密度構造には塩分が大きな役割を果たしていると考えられる。 2.今後は全観測試資料の収集、点検を行った後、日本海表層水の特性に関する解析を発展させる。まず、日本の海面及び10m深の水温、塩分分布についての統計的な解析に基づいて、(1)表層の安定度、(2)水温、塩分の既往各年次の各月ごとの累年平均値からの偏差の持続性、水温偏差と塩分偏差との関係を明らかにする。さらに、(3)表層混合層の密度の厚さ等の特性の分布やその変動についての解析を行う。
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