1.氷晶核濃度測定装置の製作 (1)野外及び航空機上で大気中の氷晶核濃度を測定するため、フィルター法による氷晶核濃度測定装置を製作した。 (2)フィルター法で検出できる氷晶核は凍結核として働くもののみを選択的に測定している可能性が高い。 昇華核、接触核などとしても働く氷晶核を測定し、フィルター法で測定する氷晶核の位置付けを明確にするため、温度と過飽和度を変化し、氷晶核濃度を測定するフロータイプの氷晶核測定装置(CFC)の製作に取り掛っている。 2.初期氷晶濃度測定装置の製作 (1)初期氷晶の空間濃度を測定するため、氷晶を1〜20μmと20μm(直径)以上に分離して測定する雲粒子レプリカ採集装置を製作した。 レプリカ液としては0.3〜1.0%フォルンバール溶液を用いている。 (2)航空機上で初期氷晶及び雲粒濃度を直接測定する手段として新たにCCDカメラを利用した高速雲粒子撮影装置の製作に取組み、試作品の基礎実験をWCRP「雲と放射」航空機テスト観測(平成元年3月)で行い、実用化への見通しを得た。 3.氷晶発生機構に関する観測 今冬(平成元年2月)志賀高原で、氷晶核濃度をフィルター法で、また氷晶濃度をレプリカ法、接写法及び氷晶をウォーターブル濾紙上に受け融解させて検出する濾紙法で観測した。 雲粒核濃度とエアロゾルスペクトルの測定も同時に行った。 現在データの整理中であるが、初期氷晶濃度として約-15℃の雲頂を持つ雲で2〜5個/lの値が見出された。 氷晶核濃度との比較は氷晶核濃度の結果がまだ出ていないので厳密にはできないが、これまでの測定例では日本海沿岸の大気中でこれに近い値も報告されている。 従って冬季日本海沿岸部の降雪雲は海洋上の積雲と機構が異なり、高い氷晶核濃度に依存する大陸性の氷晶発生機構を持つ可能性が考えられる。 今後さらにデータの解析を行い、より詳しい考察を行う予定である。
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