研究課題/領域番号 |
63540316
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
気象・海洋・陸水学
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
武岡 英隆 愛媛大学, 工学部, 助教授 (90116947)
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研究分担者 |
秋山 秀樹 愛媛大学, 工学部, 教務職員 (90159343)
磯田 豊 愛媛大学, 工学部, 助手 (10193393)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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キーワード | 急潮 / 水温急変現象 / 密度流 / 豊後水曜 / 宇和島湾 |
研究概要 |
豊後水道に発生する急潮は、これまでは水道東岸の宇和島湾で水温急変現象として把えられている。そこで宇和島湾における過去4年間の夏期の水温の連続記録を統計的に整理し、潮汐との関係を調べた。その結果、宇和島湾での水温の急変はほぼ小潮の数日後に起こっていることがわかった。本年度は宇和島湾での連続観測をさらに継続するとともに、小潮の頃に発生するという結果を踏まえ、1988年8月下旬の小潮を中心とした約1週間、豊後水道においてSTD観測を繰り返し行い、豊後水道南部より暖水塊が急潮として進入する実態を把握することを試みた。その結果、豊後水道南端における黒潮系の海水が小潮の頃北上を始め、豊後水道東岸に接しながら舌状に豊後水道に進入する様を、日々の時間変動として明瞭に把えることに成功した。進入する暖水塊の厚さは10〜20mで豊後水道の東洋分を覆い、先端の北上する速度は15cm/s程度であった。これらの結果から、豊後水道の急潮は回転系での密度流であることが、推定された。また、この暖水塊のスケールと進行速度からこの現象が太平洋より瀬戸内海へと運ぶ熱量を概算した結果、従来熱収支によって求められていた輸送量のかなりの部分を占めていることがわかった。この観測の成功は、豊後水道の急潮が小潮の頃に起こるという新たな知見をより確たるものとし、今後の急潮発生機構の解明に極めて重要な手がかりを与えるものである。
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