63年度の研究の計画の最も重要な点は、低圧下での金表面上で効率良くNO_2→NO変換を起こさせるという基礎的研究にあった。このために直径6mm、長さ30cmの金管を購入することにより、全体の内径30mm、長さ35cmの大容量のコンバーターを製作した。このコンバーターを用いてサンプル大気にCOを混合した状態で、温度約300℃でNO_2のNOへの変換効率を測定した。これまでの実験で30〜5mbという中層大気に相当する圧力範囲で変換効率が95%以上であることを見出した。またこの変換効率はオゾン濃度の増加に伴い、わずかに減少するものの、その影響は小さいことも確かめた。5mbという低圧下でこのような高い変換効率は報告されていない。しかしその一方でこのような高い変換効率を保つためには、金の表面から十分に炭化水素化合物を除去することが必要である。このために、MICRO SOLUTION溶液を用いた洗浄とオゾンを用いたフラッシングが極めて、効果的であることを実験的に見出した。結論として、我々の実験は本研究で設計されたコンバーターが、基本的には成層圏上部のNOy測定に使用できることを示している。これはこの分野の研究にとって、大きな進展であると言える。
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