分子認識できる不斉分子として3配位ピリジン型化合物の合成とその分子認識と不斉合成への応用が、本研究の目的である。 1.3配位ピリジン型化合物として、不斉アミノアルコールを原料として多量に目的分子を合成することができた。(化合物1__〜) 2.不斉分子の認識として、酒石酸や各種アミノ酸と混合し、^1H・NMRにより挙動を調べたが顕著な変化を見せず錯合体形成は弱い事が分った。 3.化合物1__〜等を遷移金属触媒に配位させるため反応させたところ、塩化ロジウムとの錯体の生成が容易であることを発見した。構造は各種スペクトルおよびX線結晶解析で明らかにした。 4.ロジウム錯体2__〜は、ジフェニルシランを用いた単純ケトンの不斉還元を試み、鐘像体区別能力を試したところアセトフェノンより(S)ーフェニルー1ーエタノールが94%eeで生成することが分り、極めて不斉誘導能を示す事が明らかとなった。 本研究での成果は、3配位不斉分子がこのように設計すれば、極めて高い分子不斉の認識力を示すことを明らかにしたところにあり、有機化学上重要な知見となることはまちがいない。
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