研究概要 |
ジシリレンまたは遷移金属ーケイ素結合生成反応に関連して、アセチレン、フェロセン、チオフェンのジメチルシリル誘導体と遷移金属錯体の反応を研究した。 まず、新しい型のクラスター錯体を合成する目的で、2個のSi-H基と1個のアセチレン結合をもつビス(ジメチルシリル)アセチレンとコバルトカルボニルの反応を研究した。反応は段階的に進行し、3種の中間体が高収率で単離され、Si-Hからのσ-Si-Co結合生成反応にCo_2(Co)_6基のアセチレンへのμー配位が先行することがわかった。関連する4種のシリルアセチレンとコバルトカルボニルの反応を研究し、生成物の電子スペクトルの比較から、クラスター内のμー配位Co原子とSiにσー結合したCo原子間の金属ー金属相互作用は弱いと結論した。 つぎに、1,1´ービス(ジメチルシリル)フェロセン(1)およびその関連化合物と金属カルボニルとの反応を検討した。(1)とコバルトカルボニルとの反応では〔(CO)_4CoSiC_5H_4〕Feが、Ru_3(CO)_<12>との反応では分子内架橋錯体〔(π-C_5H_4)_2Fe〕Ru(CO^<12>)_4が生成した。また、ジメチルシリルフェロセンとFe(CO)_5との光反応では分子間架橋錯体FcSiMe_2Fe(CO)_4SiMe_2Fc(Fc=フェロセニル)が生成した。これら錯体が担当するチォフェン誘導体に較べ異常に安定なことをフェロセンの中心金属FeとSi-M結合との相互作用で説明した。(1)とFe_2(CO)_9との反応で定量的に1,3ー(1,1′ーフェロセニレン)テトラメチルジシロキサン(2)が生成する。(PPh_3)_3RhClおよびPd(PPh_3)_4との反応では、室温で脱水素が触媒的に進行する。生成物は不安定で単離できず、水または酸素と反応して最終的にシロキサン誘導体(2)が単離された。ビス(2,5ージメチルシリル)チオフェンとの反応ではジシロキサンポリマー(Mn5000)に加えて環状シロキサンニ量体が生成した(収率20〜40%)
|