1.強力な抗腫瘍活性が報告されているbrusatolをニガキ科の動物(学名:Vrucea Javanica)より、グラム単位で分離入手した。 2.ここに得たbrusatolを種々の条件下NADHと処理を行い、相互の反応性を検討した。文献によればNADHとbrusatolが直接反応して付加物を形成する可能性を示唆していたが、細胞が存在しない条件下では反応が進行しないことを明らかにした。細胞の存在下では明らかに反応が起り、brusatolが消失し、その消失は細胞増殖の阻止と相関があることを明らかにした。細胞増殖が阻止された結果、HeLaS3細胞を用いた場合、brusatolは文献記載のような薄層クロマトグラフ上のRf値を示すNADHとの付加物と推測された化合物は与えず、より高極性の化合物へ変換されることを明らかにした。 3.Quassinoidの抗腫瘍性発現の機構を解明するためには基本骨格を合成し、それに種々の官能基を任意に導入することが必要となる。本研究では先に合成した基本骨格化合物より、抗腫瘍性が最も顕微な誘導体であるbruceaninへと官能基を導入してゆく最終段階としてbrusatolより15-deoxybrucealidを誘導し、さらにこの化合物をbruceantinへと導入することに成功し、結果として、形式的であるがbruceantinの全合成を完了させた。
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