投げなわ構造をもつRNAの環状化反応の準備のため環状化の部位となる5'末端水酸基と2'末端リン酸ジエステル同志を縮合できるような基本的な合成ユニットをまず合成することにした。このため分岐点であるアデノシンの2'水酸基にビス(フエニルチオ)ホスホリル基、3'水酸基にビス(シアノエチル)基をもつ2'、3'ジリン酸誘導体の合成を検討した。その結果、3'、5'位の水酸基を1、1、3、3-テトライソプロピルジシロキサニ-1、3-ジイル(TIPS)基であらかじめ保護したアデノシン誘導体を出発物質に用い、これをまず2'-ビス(アニリノ)ホスホリル体とし脱ジリル化ののち5'水酸基をチ-モノメトキシトリチル化し保護し、さらに脱シリル化の際あらかじめ2'位に導入したり二酸基が転位した結果2'位が無保護のアデノシン誘導体をビス(フエニルチオ)ホスホリル化をおこなって分岐点の合成ユニットを得た。 この合成ユニットの3'ビス(アニリノ)ホスホリル基のアニリの基を亜硝酸イソアミルで選択的に除去し、遊離になったリン酸基にシアノエタノールとイソデュレンジスルホニルクロリドでアルキル化し新たな合成ユニットである5'-0-ジメトキシトルリル-2'-0-〔ビス(フエニルチオ)ホスホリル〕-3'-0-〔ビス(アニリノ)ホスホリル〕-N^6-ベンゾイルアデノシンを収率よく合成した。 環状化の基礎実験とし2'および3'方向にヌクレオチド鎖が伸長できることを示すため上述した新たな合成ユニットのリン酸の保護基を次亜リン酸およびHinig塩基を用いてそれぞれ選択的に除去し2'方向にはGを3'方向にはCの誘導体をAに付加させた。このあと得られた分岐トリマーの5'MMW基を除去し別途合成したCUGトリマーブロックと総合させ分岐6両体を合成できた。これを用い現在5'末端と2'末端間で縮合環状化のため条件を検討している。
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