フェノール誘導体(6、7)を出発物質として側鎖にオレフィンを有するフェノール(1〜4)を短段階で合成した。フェノール(1および4)を無水酢酸中で電解酸化反応を行なったところ、中間に生じたフェノキシカチオンと側鎖のオレフィンとの間で分子内環化反応がおこり、一段階かつ立体選択的にトリシクロ骨格(8および16、17)、スピロ化合物(9および18、19)を合成することに成功した。これらの化合物からは容易にトリキナン型およびアコラン型セスキテルペンを合成できるものと思われる。一方フェノール(2)からはトリシクロ骨格(11、12)のみが、フェノール(3)からは異なるスピロ化合物(13、14)のみが得られることを見出した。このようにオレフィンの置換基の差により異なる3種の骨格を一段階、かつ立体選択に合成できたことは大変興味深いものと考えられる。
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