研究課題/領域番号 |
63540437
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
広川 吉之助 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (00005852)
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研究分担者 |
並木 美智子 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (10005879)
高田 九二雄 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (50005930)
奥 正興 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (90005968)
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キーワード | 価数揺動化合物 / 混合原子価 / 酸化還元溶解 / 酸化還元滴定 / XPS |
研究概要 |
本年度は従来まったく手探りで分析が行われて来たペロブスカイト型混合原子価化合物(高温超伝導化合物)中の銅、ビスマス、鉛などの混合酸化数の決定法を研究した。昨年度まではペロブスカイト型混合原子価化合物でもランタン系やイットリウム系超伝導酸化物のように混合原子価状態を示す元素が銅のみ単独の場合について検討した。一元素のみ混合原子価を示す場合には、沃素滴定を含む酸化還元滴定法と、元素分析法の組合わせで、比較的容易に、いわゆる不安定酸化数の濃度とその酸化数の決定は容易であった。 しかしビスマス系超伝導酸化物のように化合物中に混合原子価状態を示す元素が2種類以上ある可能性のある場合には、各元素(各酸化状態)の酸化還元電位が、試料を溶液化し、酸化還元滴定などで分析する場合に問題となる。今年度は研究対象試料としてビスマス系超伝導酸化物(Bi、Ca、Sr、Cu、O)を取りあげた。試料の溶解過程においてBi^<5+>の存在が確認されたため酸化還元溶解法として固体試料をMn^<2+>溶液中で溶解し、Bi^<5+>によるMn^<7+>の酸化反応を応用してBi^<5+>の定量を、Fe^<2+>溶解による還元溶解反応でBi^5+とCu^33+の合量を、全銅、全ビスマスの定量によりBi^<3+>、Cu^2+の定量、算出を行う方法を提案した。本法の欠点としてCu^+の共存はBi^5+、Cu^<3+>を低値とするが、ビスマス系酸化物伝導化合物にBi^<5+>の存在を確認し、Cu^<3+>(イツトリウム系、ランタン系では化学分析上存在確認)はほとんど存在しない事が認められた。また、イットリウム超伝導酸化物とビスマス系のそれについてXPSで得られるO_<一s>スペクトルを比較し、そのプロファイルに大きな差が認められた。これはCu3+の存在状態に関連しているものと考えられる。なおビスマス以外に鉛、タリウムなどの共存はさらに化学分析を複雑にするので研究中である。
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