1)カルサイト型結晶(稜柱層)に存在するM_n(11)のESR(石津)カルサイト中のM_n(11)はオクタヘドラルの配位構造を存し、6個のCo^<2->_3が核軸位に配位した構造をもつといわれているが、実測のESRも比較的分離の良い微細構造を示した。本研究ではこのM(11)のESRの許容遷移及び禁制遷移のESR線強度の説明を行うために三次攝動論によるスピンハシルトニアンの計算を行ない、コンピューターシミュレーションによる解析を行った。この計算結果より推定された零磁分裂のパラメータは従来取り扱はれた様なスピンハシルトニアンの軸対称性と仮定した計算では説明できないことが明らかとなった。計算された零磁場分裂は真珠カールサイト層のM_n(11)の配位構造は軸対様よりも少し歪んだ配位をモフンとが明らかにされた。 2)アラゴナイト型(真珠層)に存在するM_n(11)のESR アラゴナイト結晶ではM_n(11)は9個のCo^<2->_3と配位し、その構造は対構性の低い歪んだものと考えられる。実測のESRはスピン間相互作用まり、禁別遷移の強度か増大した著しく低対称のものであった。そのために通常のメーバンドのESRの解析は不能であった。この難点をさけるためにマイクロ波の周波数を通常のメーバンド(9GHz)よりQ-バンド(35GHz)にかへ、禁制遷移を抑制し、零磁場分裂の評価に成功した。Q-バンドのESRのコンピューターシュレーションの結果から推定されるM_n(11)同辺の結晶場の対称性は極めて低く、従来報告されている海産の生体鉱物では最も低対称であるという興味ある結論がえられ、この値をもとにして真珠結晶の品質を推定する手がかかりが得られた。本研究で得られたこれらの知見るは真珠無機層の結晶構造の特徴を明らかにする上で貴重なものであると思う。
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