研究概要 |
本邦に産する4程のメクラウナギ目のムラサキヌタウナギ(E.ptatretus okinoseanus),ヌタウナギ(E.bu〜geri),クロメクラウナギ(Paramyxineotami),メクラウナギ(Myxine garmani)に加えて今年はカナダ太平洋岸に産するE.stoutiにおける生殖細胞系と体細胞系の染色体数を観察した。生殖細胞系は54,体細胞系は34で,その差が20であり,この種においても生殖細胞系の方が染色体数が明らかに多く,染色体(DNA)放出を行っていた。生殖細胞と体細胞の比較DNA量を測定したところ,体細胞系の生殖細胞系に対するDNA量は51.3%であり,本邦産の4種と同様,生殖細胞系の核板においては,Cバンド陽性クロマチンが多量に存在することが観察され,体細胞にはそれが存在しないことが判明した。分子生物学的手法による解析では,30種の制限酵素による両細胞系のゲノムDNA(ムラサキヌタウナギ,ヌタウナギ,メクラウナギ)の消化後,これらを電気泳動して得られた泳動パタ-ンは,BamHI並びにDraIによって,ムラサキヌタウナギの生殖細胞に特異的に存在するDNA断片が明らかになった。これらは,ムラサキヌタウナギのA.B両タイプにそれぞれ2つのバンドとして観察され,BamHIによる約125bpの2つのバンドは高度反復性の放出DNAであり,Aタイプ生殖細胞の,それぞれ1.25%と1.32%をしめ,2つのバンドを合わせて全放出量の約5%に過ぎないこと,また,それぞれが8.5×10^5と9.0×10^5コピ-存在するが明らかになった。この断片の染色体上の分布を調べる目的で,一方のバンドをプロ-ブとして染色体上へin situハイブリダイゼ-ションを行なった結果,生殖細胞染色体にのみハイブリッドし,体細胞にはほとんどハイブリッドしなかった。
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