河川では、河川水は常に流れ去っていくが、河床には付着層が形成される。この付着層に生息している微生物、特に細菌は河川における有機物分解の担い手として重要な役割を果たしている。本研究者は、河床の付着層の細菌フロラを検討してきたが、年間を通じてみると細菌フロラの優占種が季節によって変動することが明らかになった。このような優占種が決って現れる要因の解析を行うため、まず培養温度の違いによって細菌群集がどのように変動するかを考察した。生きている細菌は、平板培養によってコロニーを形成することから、年間を通じて培養温度を4段階もうけ、それぞれの培養で平板にコロニーが形成される状況を観察し、服部等によるFORモデルの検討を行った。結果は現在解析中であるが、河川水を流下していく細菌群集と、付着層に生息しているものではコロニー形成によるFORモデルの係数に差があることが明らかになった。これらの細菌が、そこに生息している全菌数(アクリジン染色による)と、フォルマザンを形成する呼吸活性を持つ菌数の中で、どれほどの位置をしめているかも同時に検討している。 なお、昨夏の異常気象のため、付着層中での微生物間の相互関係を明らかにしようとした付着藻類の分離は行なえなかった。
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