一昨年の異常気象で採取できなかった上流域海沢において、5月末および10月に採取を行った。それらの付着層サンプルから珪藻Cymbella spを分離した。このCymbellaは黄色で平板上をはってコロニ-を形成する細菌と、白色で小型のコロニ-を形成する細菌を伴っていた。これらの細菌をCymbellaと分離して、無菌のCymbellaを得ようと画線分離を試みたが現在のところ成功していない。抗生物質を用いて細菌を殺す方法もあるが、Cymbellaに与える影響を考えまだ実施していない。 そこで無菌珪藻を得る努力をひとまず中止して、混合培養を試行している。0.2μmの口径のフィルタ-を間にはさんで培養する方法や、透析チュ-ブを用いての培養を行っているところである。珪藻に伴っている細菌は単独で培養可能であるが、この珪藻は単独で培養することが難しく結果はあまりうまくいっているとは言えない。これまでの結果で成果といえる点は、1981年に分離した細菌Cytophaga sp.と今回分離した黄色の細菌は同一種であると考えられることで、自然界における細菌種の不安定性が指摘されているが、10年経過しても同じような生活をしている細菌が同じ場所に生息していたことから、細菌種の安定性が確かめられた点にある。 また、中流域において得られた培養温度を4段階にして計数した菌数と、染色法による計数を比較するデ-タは現在報文作成中である。
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