研究概要 |
1-アミノシクロプロパン-1-カルボン酸(ACC)合成酵素は、基質のS-アデノシルメチオニン(SAM)のα-アミノ酪酸(4C)部分が活性部位に共有結合することで不活性化される。今回の研究は、不活性化された酵素から4C部分が結合したアミノ酸残基を含む活性部位ペプチドを単離して、アミノ酸配列を決定することを目的にして行った。 約75kgのトマト果実から、比活性から計算しておよそ80μgのACC合成酵素タンパク質が含まれている酵素標品を部分精製した。これを〔3,4-^<14>C〕-SAMと反応させてACC合成酵素を^<14>C-標識し、SDS-PAGEによる分離後、PV-DF膜にブロットした。オ-トラジオグラムから^<14>Cー標識の存在位置を決めて相当するPVDF膜の部分を切り取り^<14>Cー標識化ACC合成酵素を分取したのち、トリプシンによるon-membrane digestionを行った。しかし、ドリプシン消化後の試料には、以後の^<14>Cー標識化活性部位ペプチドの分取とアミノ酸配列の決定に充分な量のペプチドが含まれていなかった。^<14>C-標識活性部位ペプチドの回収量が少なかった原因として、SDS-pageゲルからPVDF膜へのブロッテングの効率が極めて低かったことと、酵素反応液から^<14>Cー標識化ACC合成酵素を解消してSDS-PAGEゲルに載せる操作中に試料が失われたことが考えられる。 現在 再び、充分量の^<14>Cー標識化活性部位ペプチドを分取すべくACC合成酵素の精製を行っている。さらに、共同研究者の米国カリフォルニア大学のS.F.Yang教授からトマト果実のACC合成酵素に対するモノクロ-ナル抗体を結合したイムノアフィニチィゲルを分譲されたので、今後はこれを使って酵素反応液から^<14>C-標識化ACC合成酵素のを解消した後、逆相系のカラム(C_4)によるHPLCで精製することによって、操作時の試料のロスを最小限にするつもりである。
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