研究概要 |
シアノバクテリアのカロテノイドについてSynechococcus sp.PCC 7942(Anacystis nidulans R2)を用いて、42kDカロテノ蛋白質遺伝子の性格、また培養条件に伴うカロテノイド組成変化を調べた研究で以下のような結果が得られた。 1.42kDカロテノ蛋白質遺伝子(cbpA) (1)42kDカロテノ蛋白質抗体を用いて、Synechococcus sp.PCC 7942のλ gt11ライブラリからクロ-ンを単離し、さらにそれを用いてλEMBL3から42kDカロテノ蛋白質遺伝子の全体を含むクロ-ンを単離した。 (2)sequencingの結果cbpAは450個のアミノ酸をコ-ドし(分子量は49,113dalton)、そのhydrophobicity plotよりsignal sequence(49アミノ酸残基)をもつことが示唆され、成熟蛋白質の分子量は43,709と推定された。 (3)Northern blotより、cbpAの転写は強光下培養で大きく誘導され、鉄欠乏下では抑制された。またDNA gyrase阻害剤は強光下での転写促進を抑えた。cbpAは6.2Kb RNAとして転写されているので、オペロンの一部と考えられる。 2.カロテノイド組成変動 (1)逆相HPLCを用いて本ラン藻細胞でのカロテノイドを同定した。 (2)強光下(HL)では弱光下(LL)に較べ細胞あたりの光合成色素量は減少する。この時LLではβ-カロテンが主(46%)だが、HLではゼアキサンチンが主(61%)になっている。 (3)強光下培養細胞からの重い膜画分では、380nmの吸収ピ-クがみられる。この画分からさらにTriton X-100不溶性画分を得ると、380nmだけに吸収ピ-クがあり、カロテノイド組成ではゼアキサンチンが85%を占めていた。このことは、細胞壁画分でのゼアキサンチンの少なくとも一部がより集合した形で存在することを示唆する。
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