研究概要 |
マメ科ケツルアズキ発芽種子の子葉のみに特異的に活性を表わし、種子タンパク粒中のグロブリン分解に作用するチオール型エンドペプチダーゼは、すでに我々により、その翻訳後プロセシングが45Kd→43Kd(シグナルペプチド切断)→39Kd→36Kd→33Kd(成熟型)という多段階にわたる過程であることが明らかにされている。本研究課題ではこの多段階にわたる翻訳後プロセシングの分子機構を解明することを最終目的として研究をおこない、以下のような研究結果を得た。 1.エンドペプチダーゼ活性が最も高まる発芽3日目のケツルアズキ子葉よりフェノール法により全RNAを抽出し、これよりオルゴdTカラムを用いてmRNA画分を調整した。これを鋳型にしてcDNAを合成して、発現ベクターλgt11に組み込みcDNAライブラリーを作製した(5.2×10^6pfu,組換え体の割合97%)。このライブラリーより本酵素の特異抗体を利用して免疫学的スクリーニングを行ない、最終的に2つのクローンを選別した。 2.2つのクローンは各々pUC18プラスミドにサブクローニングし、pEP60およびpEP70とした。このうちpEP60ーcDNAをM13ファージにサブクローニングして、ジデオキシ法により塩基配列を決定した。またそれからアミノ酸配列を導き出した。 3.pEP60をプローブとしてノーザンブロット法により同酵素のmRNAのサイズは約1.6Kbと推定された。また、このmRNAは発芽時に新合成され、子葉中のエンドペプチダーゼ活性化がピークに達する発芽3〜4日目にそのmRNA量も最大になることがわかった。胚軸中にはこのmRNAは検出されなかった。それゆえ、同酵素の器官特異的、生長段階特異的発現はmRNAレベルで制御されていると考えられる。
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