分裂酵母Schizosaccharomyce pombeの減数第一分裂に必須のmei4遺伝子の構造と発現調節について解析し、以下の結果を得た。 (1)mei4遺伝子の発現調節 1.mei4特異的プロ-ブを用いたノザン分析を行ない2.1kbのmRNAを同定した。 2.mei4mRNAは栄養生長条件ではほとんど転写されず、窒素源が枯渇した条件下で転写量が著しく増加した。 3.mei4遺伝子の転写の活性化には、接合型遺伝子座のヘテロザイゴシティは必要でなく、またmei2などの他の減数分裂開始遺伝子の働きにも依存しなかった。 4.mei4/lacZ融合遺伝子を構築し、S.pombe細胞に導入したところ窒素飢餓条件で強いβガラクトシダ-ゼ活性が検出された。 5.種々の条件における融合遺伝子の発現はノザン分析の結果とほぼ一致した。 6.mei4欠損突然変異体では融合遺伝子の発現は著しく低かった。 7.減数分裂開始遺伝子mei2の変異株中では、逆に野生型より高い活性を示した。 8.以上の結果から、mei4遺伝子の発現は、主として窒素源レベルにより調節されるが、mei4タンパクによる正の自己制御、mei2タンパクによる負のフィ-ドバックなど微調節が働くことが示された。 (2)mei4遺伝子の塩基配列 1.mei4遺伝子の全塩基配列を決定し、356アミノ酸からなるオ-プンリ-ディングフレ-ムを見いだした。 2.塩基配列から予想されるmei4遺伝子産物は分子量39キロドルトンの親水性タンパクで、セリンに富んでいることがわかった。 3.タンパク質一次構造が類似した既知のタンパクを検索したが、顕著なホモロジ-を示すものは見つからなかった。
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