研究課題/領域番号 |
63540543
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研究機関 | 国立公害研究所 |
研究代表者 |
近藤 矩朗 国立公害研究所, 生物環境部, 室長 (60124343)
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研究分担者 |
島崎 研一郎 国立公害研究所, 生物環境部, 主任研究員 (00124347)
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キーワード | Argenteum / クロロフィルa__-蛍光 / 紫外線吸収物質 / 紫外線防御 / ソラマメ / フラボノイド / UV-C |
研究概要 |
植物葉の表皮にはフラボノイド様の紫外線吸収物質が含まれており、太陽光の紫外線(290〜400nm)による傷害や光合成阻害に対する防御物質として働いていると考えられているが、この含有量と紫外線防御との関係は明らかでない。本実験では葉の表皮を剥がしやすい植物材料として、エンドウの突然変異種Argenteumとソラマメを選んだ。葉片あるいは表皮を剥がした葉片に1.5あるいは3.4Wm^<-2>のUV-Cまたは対照として可視光を10分間照射し、光合成活性の指標としてクロロフィルa__-からの蛍光強度を測定することにより、紫外線に対する表皮の防御機能を検討した。以下に結果の概略を述べる。 (1)Argenteumの葉肉細胞からの蛍光強度に対して、上側表面からのUV-C照射は影響を与えなかったが、裏側表面からの3.4Wm^<-2>のUV-C照射は顕著な阻害を示した。一方、表皮を剥がして照射すると、どちら側から照射しても1.5Wm^<-2>で同強度の阻害を示した。 (2)ソラマメ葉についても、Argenteumと同様に上側表面からのUV-C照射では阻害を受けず、裏側からの照射で阻害を受けた。また、裏側表皮を剥いで4.5Wm^<-2>の可視光を照射しても影響を与えなかった。 (3)Argenteumの表側及び裏側の表皮を剥ぎ、これを80%エタノール中で磨砕し、抽出物の吸収スペクトルを測定すると、紫外域に強い吸収があり260と320nm付近にピークを示した。可視域ではほとんど吸収を示さなかった。表側表皮抽出物と裏側のそれとは同様の吸収スペクトルを示したが、表側表皮の方が2倍以上強い吸収を示した。 以上の結果は、葉の表皮にはフラボノイドグリコシドと思われる物質が含まれており、紫外線による傷害に対する防御物質として機能していることを強く示唆している。
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